人生儀礼

人生儀礼は、神様に感謝し、前向きに人生を歩んでいくための大切な儀式

お正月の初詣などでは、お賽銭を納めて、お参りする方法が一般的ですが、少しかしこまってお参りするときがあります。
それが人生儀礼(人生の節目の儀式)です。

人がこの世に生を受け、天寿を全うするまでの間には、さまざまな節目が訪れます。
節目は、その時々で神様の御加護に感謝する良い機会であるとともに 新たな役割を神様から授かる“はじまり”でもあり、前向きに人生を歩んでいくために、欠かすことのできない大切な儀式であります。

安産祈願(腹帯のおはらい・着帯のお祝い)

赤ちゃんが健康で無事に生まれますよう、祈願を受け、妊娠五ヶ月目の戌の日に岩田帯をお腹に巻く習わしがあります。これは犬が安産で、子犬の成長が早いことにあやかるものです。 腹帯をお持ちいただければ、ご祈願の際におはらいをし、御神前にお供え致しますので、受付の際お申し出ください。腹帯は身につけてお参りいただいても結構です。安産祈願は必ず戌の日にしなければならないということではなく、体調を優先しご都合の良い日にお参りください。

犬はお産の象徴
多産 一度にたくさんの赤ちゃんを産む犬は多産や子孫繁栄の象徴。
安産 犬はお産が軽いことから、あやかろうという考え。
家を守る 番犬として、邪気を追い払うことから、家を守るともいわれる。神社の狛犬と同じような意味がある。

お宮まいり(初宮詣・百日まいり)

生後1ヶ月以上経ってから家族揃って神社へ参拝し、赤ちゃんが健康に成長するようお祈りします。福井では百日参りといって、お誕生から百日目前後にお参りされる場合が多いようです。
ご家族でご相談の上、赤ちゃんやお母様の体調にあわせて、ご都合の良い日にお参り下さい。

神様に“誕生”を認めてもらう儀式
健やかな成長を祈願するとともに、赤ちゃんの存在を神様に認めてもらう儀式です。地域によっては、赤ちゃんの存在を印象づけるために、をわざと泣かせる風習があるところもあります。また、一般的には赤ちゃんは父方の祖母(姑)が赤ちゃんを抱きますが、母方の祖母や母親が赤ちゃんを抱いても差し支えありません。打ちかけの着物(祝着)を用意される場合は、赤ちゃんの背中に着物を覆うように掛け、紐で結びます。

七五三詣

三歳の男女児・五歳の男児・七歳の女児に晴れ着を着せ、親子で神社へ参拝し、無事成長したことを感謝します。古くは三歳を髪置、男児五歳を袴着・女児七歳を帯解の祝いと呼びました。年齢は基本的には数え年の年齢で行いますが、満年齢で行っても差し支えありません。
お参りは、11月中に行うのが一般的です。

七歳までは神のうち
七五三のお祝いは、その昔乳幼児の生存率が低かったことが関係しているといわれています。医学が未発達であった時代、乳幼児が流行り病などで亡くなってしまうことがしばしばで、「七歳までは神のうち」といわれるほど、赤ちゃんや子どもの命はかよわく、この世に定着しない状態であると考えられていました。七五三につきものの“千歳飴”も、飴が細長く伸びることから、命が延びるという縁起を担いだものだといわれています。一定の年齢に達した節目に、子どもの成長を神に感謝し、今後も健やかに育ちますように祈願するのが七五三の儀式であります。

成人式 ~成人の祝い~

晴れて20歳・成人となり、大人として社会的に認められることを記念し、社会人としての責務をはたしてゆくことを神前に誓いつつ、さらなるご加護を祈りましょう。

大人の仲間入り
成人式は、公家や武家の男子の成人の儀式「元服加冠の儀」に由来するといわれ、古くは神前で行われていました。現在は地方自治体が中心となって式典が行われていますが、かつての元服に比べると形式的なものだといえそうです。成人式を迎えると周囲から一人前の大人として見られるようになり、その分責任も伴い、地域によっては青年団や消防団、祭礼の当番などの仕事を任されるようになります。大人の自覚を促す儀式が成人式です。

結婚式

縁あって結ばれたお二方の新しい門出を祝い、披露宴に先立ち、ご神前で式を挙げ、三三九度の盃を重ね、夫婦の契を結びます。ひとつの縁が結ばれたことを感謝すると共に永い一生を互いに尊敬しながら平和な家庭をつくりあげ、子孫の繁栄をはかっていくことを神様に誓います。

三三九度(三献の儀)
三三九度とは、盃をとりかわす回数のことです。これは平安時代の公家の酒宴の作法に倣ったもので、お酒を一杯飲むことを「一度」といい、三度飲むことを「一献」といいます。これを三献、つまり九度いただく作法をいいます。このような厳粛な作法によって、より強い結びつきと神様の御加護を授かるために行います。
結婚式の起源
結婚の儀式は、神話に登場するイザナギノミコト、イザナミノミコトの物語から始まります。この二柱(※1)の神様は神話の中で、初めて男女の性をもった神様で、天上の神様のお命じによって、国作りをされた神様として知られています。大きな矛で海をかき混ぜ、その矛先から落ちた雫が島となって日本の国土をおつくりになられました。その二柱の神様が最初に作ったオノコロ島というところに、天の御柱という聖なる柱を立てた宮殿をお建てになり、その天の御柱をイザナギノミコトは左より、イザナミノミコトは右より巡って正面に向き合い、結婚の儀式を行いました。これがわが国における最初の結婚式であり、その起源といわれています。

※1 神様の助数詞は“柱”で、神様への敬意のこもった数え方です。

厄祓(厄除)

大難を小難に 小難を無難に

“厄”という文字は厂(がけ)+卩(ひと)の会意文字で、崖に臨んで、人が進退に窮したさまを表します。厄年は、体力的な問題のほか、家庭内や仕事などの社会的役割でも転機を迎える節目とされ、さまざまな災難に遭いやすい年齢だと言われています。厄年を迎えるにあたり、災厄を未然に防ぐために、厄祓を行います。厄年の中でも男性の42歳と女性の33歳は大厄といい、前後の年齢である前厄・後厄も同じくらい運気が下がるともいわれ、この3年間はとくに注意が必要といわれています。

厄年は“数え年”で
数え年とは、生まれた年を1歳として、それ以降はお正月を迎える毎に1歳ずつ年を加えていく昔からの数え方です。これはお正月に年神さまをお迎えし、その御霊をいただくことによって年を重ねるという考えに基づくもので、神様への感謝の気持ちが込もったものです。

厄年の表(令和6年-2024年用)

性別 年令 前厄 本厄 後厄
25才 平成13年生 平成12年生 平成11年生
42才 昭和59年生 昭和58年生 昭和57年生
61才 昭和40年生 昭和39年生 昭和38年生
19才 平成19年生 平成18年生 平成17年生
33才 平成5年生 平成4年生 平成3年生
37才 平成元年生 昭和63年生 昭和62年生

年祝い(算賀の祝い)

還暦(61歳)、古希(70歳)、喜寿(77歳)、傘寿(80歳)、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)の祝年に、神恩と長寿に感謝しつつ神前に喜びを奉告し、さらなる御加護を祈りましょう。

還暦は「生まれ直し」
昔は平均寿命が40歳前後で、誰しも長寿を願っていました。“還暦”は満60歳、数え61歳のお祝いですが、「本卦還り」ともいって、干支が一巡し、生まれ年と同じ干支が巡ってくることから、赤ちゃんに戻る、つまりは“生まれ直し”の意味があり、生まれたての赤ちゃんを祝うように、赤いずきんやちゃんちゃんこなどを贈る習慣があります。年祝いの儀式は、本人はもとより周囲に福を与える意味もあり、大切な祝い事とされています。